暁の鳥を彼は撃ち落とした

ぼんやり窓の外を 眺めている
彼を乗せ バスは走って行く
波打つ糸杉の頭の上
満月、追い抜くために
世界を手に入れようと
していた 彼は
あらゆる願いを
叶えるという
暁に飛ぶ、その鳥の羽を
求めて待ち続けた
やがて明ける朝の事を
暁の鳥が太陽へ向かった
金色の羽が輝いて見えた

朝日が希望だった昨日とは
何かが少し狂い始めていた
世界を染めてゆく美しさを
理解する事なく
広い空に銃を向けた
暁の鳥を彼は撃ち落とした
金色の羽の真実も知らずに
回る、回る、空が回る
暁の鳥を彼は撃ち落とした
金色の羽の真実も
知らないまま
舞い散った羽は
ただの白い羽で
暁の鳥は
空に消えて行った